阿蘇くじゅう国立公園のなかにある菊池渓谷。日本名水百選・日本の滝百選に選ばれたこの渓谷の藍色の淵「竜ヶ淵」には、かつて龍が住んでいたという伝説が残ります。
その龍の鱗の文様を、自分の手で組み上げる体験が菊池渓谷ビジターセンターで始まりました。1847年創業の大川組子「湊屋(みなとや)」の職人技から生まれた、菊池だけの組子「龍紋組子(りゅうもんくみこ)」です。
組子とは
「組子」は、釘を使わずに木と木を組み合わせ、幾何学模様をつくる日本の伝統技法です。その歴史は飛鳥時代にまで遡り、神社仏閣の欄間や障子などに用いられてきました。木と木がピタッとはまる瞬間には、なんとも言えない心地よさがあります。
「龍紋」に込めた願い
龍紋組子は、湊屋に伝わる「変わり麻の葉」の文様がもとになっています。麻の葉文様は、生命力の強い麻がまっすぐに大きく育つ姿から、健やかな成長への願いが込められてきた柄です。さらに、文様に現れる三角形は龍の鱗を思わせる「鱗文様」にも通じ、厄除け・魔除けと再生への願いが重ねられています。
菊池には白龍伝説をはじめ、龍にまつわる物語が残されています。約180年受け継がれてきた大川の技と、菊池に息づく龍の物語。ふたつを重ねて名付けられたのが「龍紋組子」です。
木々のなかで、木にふれる
菊池渓谷は、深い原生林に覆われた渓谷です。夏でもひんやりとした空気のなか、頭上には葉が幾重にも重なり、足元には清流が流れています。
その森のただなかで手にするのが、細く挽かれた一本の木です。組子の材が仕立てられたのは、ここから遠く離れた福岡県大川市。
木目がまっすぐ通り、角はぴたりと立っています。持ってみると、思っていたよりずっと軽い。
組子には接着剤も金具も使いません。刻まれた溝と溝だけで互いを支え合い、形になります。だから一本でも寸法が狂えば組み上がらない。七代目が一本ずつ仕立てた部材だからこそ、初めての手でもきれいにはまります。
生きた木々に囲まれながら、人の手で整えられた木にふれる。手を動かしているうちに、時間の感覚がゆるやかになります。
体験の流れ
- 袋から組子のパーツを取り出し、すべて並べます
- 長い材を三本そろえ、一本目を斜めに置きます
- 短い材を上下から組み合わせていきます
- 裏返して六角形にし、葉材を順に、丁寧に組んでいきます
刃物や釘は使いません。七代目があらかじめ加工した部材を組むだけなので、初めての方でも15〜30分ほどで完成します。手元の一本に「今、ここ」の意識を向けながら組み上げる、静かな時間です。完成した作品は、黒台紙付きの飾りとしてそのままお持ち帰りいただけます。
つくり手
- 監修:志岐浩美(湊屋 七代目 利右衛門) 1847年、福岡県大川市で創業した湊屋の七代目。内閣総理大臣賞を受賞。
- 体験講師:甲斐翔大(株式会社ひとこと)
1847年から続く技を、次の世代へ。体験料には、職人の技術と継承に係る費用が含まれています。
開催概要
| 体験名 | 龍紋組子(THE DRAGON SCALE) |
| 場所 | 菊池渓谷ビジターセンター(熊本県菊池市原) |
| 営業時間 | 10:00〜16:00 |
| 開催日 | 土日祝は基本開催/平日は不定期 ※平日の開催日はお電話でお問い合わせください 菊池観光協会(0968-25-0513) |
| 所要時間 | 15〜30分 |
| 料金 | 事前予約 8,000円/当日 7,000円 ※菊池観光協会公式LINEの友だち登録で 6,000円 |
| 参加方法 | 予約優先、当日その場での参加も可 |
| 対象 | 小学校高学年以上 |
| 定員 | 4名 |
| 監修 | 湊屋 七代目 利右衛門 志岐浩美 |
| 体験講師 | 甲斐翔大(株式会社ひとこと) |
| 主催 | 一般社団法人菊池観光協会 |












